何かが違う。

それにふと気づき、気になり始める。

違和感の理由がわかったとき、ひとは落ち着く。

この日見た踊り子はいつも見る踊り子とは違った。


馴染みの湘南色ではなく、上毛三山の色を模した帯をまとった車体。

はるばる伊豆へきてくれたように感じる。


線路はつながっている。

だから、この185系もここにいる。

少し暖かい気持ちになった。

日光へ向かう人々を送り届けて宇都宮へ向かう準備をしている205系と東武日光駅へ向かう6050系。

世界遺産という空間で、非日常の空気を味わうことは心身ともに充実した気持ちにさせてくれる。

そう考えると、独特な空気を持ってそることことが、世界遺産として選ばれた所以なのかもしれない。

空は少し重かったが、参道を通り抜ける風は心地よく、揺れる緑がさらにその心地よさを増幅してくれた。


”自然に還る”


そういうことなのかなと感じた。

空を見上げると澄んだ青と真っ白な雲。

地上に目をおろすと鮮やかな緑と真っ直ぐに延びる線路。

大社線の0キロポストを右に見ながらデハ3005は川跡駅を出発し、一路、出雲大社駅へと向かう。

出雲大社に詣でる多くの参拝者を乗せて走ることは、誇り高く尊いことであろう。


出雲大社は今年、60年に一度の大遷宮の年である。

例年以上に詣でる方の数は多いはずである。


小さくて大きな2両編成の姿。

これからも、気高く走り続けて欲しい。

調整及びネタの収集中（一部甲種回送）につき、試運転となっております。